———弊社を知ったきっかけは何でしょうか?
私がウェブマーケテイングを任された当初は、店舗運営やウェブサイト運営など、全てがアナログに偏っていたため、文字通りゼロから取り組む必要がありました。そこで、店舗ビジネスも含め、外部的視点でマーケティングを包括的にサポートしていただけるパートナーを探していたんです。そんな中、Googleアラート上で発見したのがTOTTY DESIGNさんでした。
———数ある会社の中から弊社にご依頼頂いた決め手は何だったのでしょうか?
一番は、社長である戸塚さんの経歴です。ハイブランドでの店舗経験・経営・マーケティング・ブランディング全般と、幅広い実績と知識をお持ちだという点でした。特に重要視したのはハイブランドでの「高級志向」の視点も持たれているという点です。我々のグループブランドの1つである「RESH.」は大手百貨店に出店しているため、そのブランディングやマーケティングにも通じるものがあると思いました。また、実店舗に立たれた経験があるというのも大きなポイントでした。店舗経験を通じて、現場のスタッフや職人、来店顧客の立場も理解していただけると感じました。
———当初どのような課題点を抱えていたのでしょうか?
既存のお客様へのアプローチができていないことが致命的な問題でした。戸塚さんからも、当時のクツショウテンの状態を「バケツに穴が開いた状態」だとご指摘いただき、まずはその穴を塞ぐ必要性があるとご指南いただきました。すなわち、CRMを強化・構築することが最優先課題であると合意し、これに向けた施策がスタートしました。
———CRMの強化を起点に「オムニチャンネル戦略」を重視した施策を行ってきましたが、その具体的な内容と効果についてはいかがでしたか?
———4つ目の「LINE施策」については、弊社としても肝いりのプロジェクトでした。
———会員ランク制度を弊社からご提案した背景としては、購買データの分析から、来店数の多い顧客が一定数いる一方で、1回きりの買上客数の顧客が圧倒的に多かったことがあります。これを受けて、上位の顧客にはそれなりのサービスを還元し、初回購入のお客様には再来店に繋がるような販促企画を用意することとしました。
———弊社に依頼された感想をお聞かせいただけますか?
ビジネススキル、マーケティング、経営に関する知見から、当社が抱える問題点や改善事項を論理的に分析いただき、施策を具現化いただいたことは上述の通り、大変満足しております。ですが、私が真っ先に挙げたいのは、社長である戸塚さんの人間性です。
この業界は、どうしても本部と現場の間に認識の隔たりが生じがちです。しかし、戸塚さんは、現場に立ち、スタッフや職人側の気持ちをミクロに捉えた提案や修正を行ってくださいました。このことは、プロジェクト成功にとって大きな足がかりになったと感じています。また、戸塚さんの言葉のチョイスや言い回しは、常に人に気持ちの良い印象を与えるものでした。コミュニケーションのツールである言葉の重要性を理解し、その使い方によって関係性が築かれていく中で、戸塚さんの配慮は私にとって大きな助けとなりました。
今回は、伝統的な靴修理業界にDXの波をもたらし、顧客体験の向上と事業の成長を両立させる「株式会社靴商店インターナショナル」様の事例をご紹介しました。靴が使えなくなった場合に「捨てる」「買う」以外に「修理をする」という第三の選択肢を提供したい。「靴を修理して履く文化を創る」という企業理念のもと、熟練技術とサステナビリティを追求する「クツショウテン」の挑戦は、まだ始まったばかりです。山部氏の情熱とデジタル戦略が、日本の歩行文化を向上させ、靴を大切に使う新たな価値観を創造していくことに、今後も大きな期待が寄せられます。
文 | 藤井 麻未 Mami Fujii